カディ・ウィズ・ハーバルダイ    インドの伝統的染織方法   チャルカ(糸車)で紡いだ糸と布を自然の染料でゆっくりと染めています

''HERBS''

画像の説明
Source of Natural Dyes

私たちのKhadiはHERB(植物)から抽出された染料で染められています
カテキュー、ざくろ、ミロバラン、インド茜など 

染料として利用できる植物には、アーユルベーダや漢方薬として利用されている
薬草が数多くあります


Myrobalan ミロバラン  

タンニン、ケブリン酸を多く含むミロバランの乾果には収斂作用があり、インドでは下血、下痢止めとして古来よりアーユルベーダに利用されてきました。 日本では奈良時代に唐の鑑真によってもたらされ、その実は訶梨勒(かりろく)と呼ばれ現在も正倉院に保管されています。
古くから生薬として用いられる植物の多くには、糸や布を染めるのに適した色素と媒染材(染料を繊維に固着させる役割)となるタンニンが多く含まれていることが知られていました。
そうしたことから草木染めは漢方染めとも云われることがあります 

Myrobalan

英名 Mylobalan ミロバラン
和名 訶梨勒(かりろく)
学名 Turmeric Chucumba

シクンシ科 落葉高木樹     
原産地 インド ミャンマー



Indigo インド藍

青を染める唯一の植物 藍
意外にも自然界で青色の色素を持つ動植物はそれほど多くはありません
そのためBLUEを生み出す藍は、世界中で古くからとても大切にされてきました。

藍の色素であるインジゴチンを持つ植物には、インド藍(マメ科コマツナギ属)のほかに、
アブラナ科の大青(ウォード)、タデ科のタデ藍、キツネノマゴ科の琉球藍などがあります。


すくも法という方法で藍を作るタデ藍が日本では主流ですが、インド藍や琉球藍は沈殿法と
いう方法で藍を作ります。
 沈殿法の特徴は、藍に植物の残滓を含まないので、すくも法と比べてインディゴ の含有量が高く効率的に深いブルーを染めることができます。

ここではその伝統的な沈殿法による藍の生産工程をご紹介します

indigo

9月。収穫された新鮮な藍の生葉、重さにして約1t。それを約6m四方、深さ130cm程のプールに運び込み、藍の生葉でいっぱいにします。その後プールに水を張り一晩寝かせることで藍の発酵を進めます。プールの中に見える木の棒のようなものは、水を浸した後、木の板でプール全体を上から蓋をする際に、その板を固定する止め具の役割をしています。

indigo

18時間後。プールの水が漆黒に見えるのは一晩寝かせて発酵した藍草から抽出されたインディゴ成分によるもの。この水を下層にある別のプールへと流し込みます。これによりプールの水は藍草から分離した純度の高いインディゴ成分を含む水のみになります。2つのプールの間には段差があり、ポンプなどを必要とせずに簡単に排水ができる仕組みです。

indigo

その後、6人程の男たちがプールに入り、2時間ほど休みなく足を使ってプールの水を攪拌していきます。なぜならINDIGOは、その前躯体であるインジカンを加水分解してインドキシルに変化させ、それを酸化させることで青色の色素 インディゴ が作られます。良質のインディゴを生成するためには、発酵したプールの水をかき混ぜて、より酸素を取り込む作業がとても大切です。これは今でも機械ではなく人力で行われています。

indigo

発酵がすすんだインディゴの液体を

300リットルは入ろうかという大きなドラム缶へと移して

薪で火を起こし火力を調整しながら

焦がさないようにゆっくりと煮詰めていきます

Indigo

できたての熱いINDIGOを布で濾し

indigo

木枠に移して、上からおもしをし

indigo

数時間後、余分な水分が抜けて粘土状になった藍の塊  
まだ柔らかさが残るうちに10cm程の石鹸ほどの大きさへカット

indigo cake

ケーキのように見えることからINDIGO CAKEと呼ばれる藍の塊
約10日間ほど天日に晒し、完全に乾燥させれば、ようやく完成です

藍の収穫からINDIGO CAKEを作るまで
今でもすべてが手作業

dyeing
Dyeing

dry
Dry in the sun

南インドの染織文化を象徴する天然のインド藍

1880年にドイツで合成藍が開発されると、それまで藍の王座であったインド藍の需要は
急激に減少し、今ではここ南インドにおいてもごく少数の生産者を残すのみとなりました。

現在インディゴピュアーと呼ばれる合成藍で染めた藍染めが多い中、
私たちは直接、生産農家の方を訪問して、その年に収穫された天然の
INDIGO BLUE(インド藍)を使用しています。

深い海のような藍を染められるのも
この土地の自然と彼らの経験があればこそ
自然の恵みと 人々の手仕事に感謝

英名 Indigo インド藍
学名 Indigofera tinctoria
マメ科コマツナギ属 



Indian Madder インド茜  

インド茜は藍と並んで最も古い植物染料とされ、約4500年前のインダス文明の遺跡モヘンジョダロには、インド茜で染められた木綿が発見されています。インド更紗やペルシア絨毯といったアジアの染織文化を代表する染織物には、インド茜の赤がとても重要な役割をしており、また生命と太陽を想起させる赤は古代の人々にとって最も神聖な色であったといわれています。

画像の説明

英名 Indian madder
学名 Rubia Cordifolia
アカネ科アカネ属
原産地 インド、ペルシア

日本茜  四つ葉茜  

わが国では平安時代に編纂された延喜式(えんぎしき)に、茜を染めるに際し米を用いるとの記録があります。日本茜の主な色素はアリザリンではなくプルプリンが主成分で、赤というよりもやや黄色味が多い朱といわれます。そのため米に黄色味を吸着させる手法は、茜を染める際の工夫のひとつであったとされています。

西洋茜  六つ葉茜

昆虫学者で有名なファーブルは、天然の西洋茜の色素アリザリンを効率的に精製する技術で特許を申請し、フランス政府から最高勲章を授与されています。しかしその直後、1869年にドイツで合成アリザリンによる化学染料の時代が幕開けしました。しかし長い歴史の中で、洋の東西を問わず、茜は私たちに赤色を授けてくれる最も身近な植物でした。


Pomegranate 石榴 ざくろ

古くから地中海地方、ヒマラヤ地方、アジアなど世界各地で栽培されている果実です。
アジアを中心に最も消費されるフルーツの一つで、日本でも近年、ざくろジュースが人気となり定着してきました。ざくろが古代から広く人々に栽培されてきた理由は、果実としてだけではなく薬用や植物染料としても価値のある植物だったからでしょう。
アルカロイドを多く含む樹皮や根を乾燥させたものを石榴皮、タンニンを多く含む果皮を乾燥させたものを石榴果皮として、日本を含む世界各地で寄生虫の駆除やアメーバ性腸炎の下痢止めに生薬として用いられてきました。

日本には平安以前に中国から渡来し、観賞用、薬用、染色にと幅広く利用され、クエン酸など多くの有機酸を含む種は、その昔、銅製の鏡を磨くのに利用されていました。また種子の多い石榴(ざくろ)は子孫繁栄、豊穣のシンボルとして縁起のよい果物ともいわれています。

画像の説明
英名 Pomegranate
学名 Punica granatum
原産地 ペルシア(現在のイラン)、チュニジア(北アフリカ)など 


Oak gall  マジュファル

マジュファルとはイラン・小アジア地方に産するブナ科高木樹の若芽、小枝に生ずる虫えい・虫こぶのことです。没食子蜂(タマバチ)の産卵の刺傷によって植物の免疫作用が働き、異常発育した植物の組織のことで、その成分は多量のタンニンを含みます。外観は直径約2センチの球形をしており、木の実(ナッツ)のようにも見えることから英名をGall nut(gall = 虫こぶ )といいます。
産卵された卵は成虫になると小さな穴を開けて出て行き植物への悪影響はないとされています。

インドでは古くからこのマジュファル(ヒンディー語)を用いて紫がかった茶色や黒色系の天然染料として染色に利用してきました。また化学染料が発明される以前のインクの原料でもありました。
同類の天然染料に五倍子(ごばいし)がありますが、五倍子はウルシ科落葉小高木ヌルデの葉や若芽に産卵された虫こぶです。五倍子もタンニン材として染色やインク原料として利用されており、この粉を鉄汁に浸して作った黒色染料は、その昔、日本女性が歯を黒く染める鉄漿(おはぐろ)に用いられていました。

マジュファル




a:6957 t:1 y:0

powered by HAIK 7.0.5
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. HAIK

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional